旅の醍醐味。
地中海沿岸を旅するのが好きな理由の一つは石造りの家を華やかに飾るブーゲンビリアです。湿度の高い日本ではなかなかお目に掛かれないので、私の憧れの一つです。サントロペで晩御飯にタイ料理のレストランに行った帰りに出逢ったもの。その見事さに思わずパチリ。
そのタイレストランはトリップアドバイザーでも高評価で美味しかった。
近頃はグーグルマップはあるし、トリップアドバイザーのようなサイトもあるし、本当に旅が楽に楽しくなりました。その日は店先のオープンエアの席でいただきました。その時の話です。
隣の席には若い女性と母親ほど年の離れた女性(母ではなかったよう)の二人連れ。おもむろにタバコを吸い始め、「吸っても構わないかしら?」「全然大丈夫ですよ。」と私たち。
女性二人は前にも来たことがあるようで、レストランの人と「あらっ、覚えてくれているの!この間はとても美味しかったからまた来ちゃったの❤」と二人ともそれはそれはとても楽しそう。
その何分後かに後ろの席に男性の4,5人のグループが着席。しばらくすると
「悪いんだけど、たばこやめてもらってもいいかな?」
「あらっ!ごめんなさい」
「僕たちはたばこは吸わないんで...」
「あら、それは健康にいいわね」
「吸わない方が君たちの健康にもいいと思うよ。」
「その通りよね~」
のような会話が繰り広げられていました。
フランスではテラス席などオープンエアの場所は一応喫煙OKだったと思うのだけど、女性二人は注意を受けたわけです。私たち日本人がこの女性たちだったら、その後どうするでしょう?
その後は......こんなでした。
「ところであなたたちどこから来たの?」
「僕はニューヨーク、彼はロンドン、彼はオーストラリアだよ。君たちは?」
「ドイツよ。彼女はニューヨークに住んでいたことがあるのよ」
「へえ~そうなんだ。どこに?」
「いろんな所よ。ブルックリン、とかバ...バ....バ..。」とこんな感じでとても楽し気に会話を始めたのです。
この光景を見て、私は2つのことに文化の違いを感じました。一つはまず日本人ならタバコがいやな人が席を移るか黙ってがまんしたりすると思います。一応外の席は喫煙OKなわけですから。もう一つは注意を受けたら少なからず「チッ!ここは喫煙OKでしょう。」と内心思ったり、悪びれたりするのがたぶん普通かなと思います。注意をした人と楽しく会話しようなんて毛頭思いません。
それともこれは新手の逆ナンパ術なのでしょうか? 或いは男性グループの顔は見なかったですが、注意を受けても話したくなるようなよっぽどのイケメンおじさん達だったのでしょうか?
今となっては確かめようがないですし、その後彼らがどうなったかもわかりません。
同じような光景をビーチでも見かけました。10代後半ぐらいの兄弟が波打ち際で卓球の大きい板のようなものでボールの打ち合いを黙々とやっていたのです。
「コーン、コーン」規則正しく音がします。しばらくすると近くにいた水着姿の年配の男性が近寄って行って、何やら話しています。その後その兄弟はその遊びをやめて自分たちのサンベットのところにそそくさと戻っていきました。会話は聞こえなかったけど....。どんな会話があったかは想像に難くないです。
その男性はトップレスのやはり年配の奥さんらしき人がいるサンベットに戻っていきました。女性がトップレスだから間違いなくフランス人です。年配の方のトップレスはかなり厳しいものがありますが、それがフランスなんです。
「トップレスやめてもらったもいいですか。」なんて絶対に言えません。私たち日本人は割と公の場では我慢することを良しとしますが、欧米の人はそうじゃないようです。もちろん人によると思いますが..。そしてそれが当たり前だから注意を受けた方も「あら!ごめんなさい」とサラッと受け流し殊更悪びれることもないのでしょうか。
私みたいに喫煙OKの焼き鳥屋さんのカウンターで隣の席の男性がタバコをスパスパ吸っていた時、脳内でガン飛ばしながら!?「いやだわ~今時、食べ物屋さんでタバコ吸うなんて!!そりゃー喫煙OKだけどさあ~。」なんて思っているよりきちんと伝えた方がよっぽどエレガントなのかもしれません。
でもやっぱり我慢するだろうな..。
こんな風に文化の違いや多様性を見て経験するのも旅の醍醐味です。
今、日本人の若い人で留学する人や海外に行く人が減っていると聞きました。
今やインターネットやSNSで日本にいながらにして世界中が見られるし、海外の人とコミュニケーションできるからでしょうか。でもでもやっぱり生で体感する方が断然面白いと思います。
2018.9.30